Vol.325 2021.4.13

音楽・美術の旅 メールニュース
 
Column

音楽を聴くところ その1

この季節、街を歩いているとあちらこちらから音楽が聴こえてくる、というのがここイタリアの日常だった。いや、なにもイタリアに限らないだろう。モノトーンの季節を越えて、緑が芽吹き、花を咲かせるとなると歌をうたい、音楽を奏でたくなる。それが生身の人間であることの証明であろう。演奏する側、それを受ける側、関係なく音楽に酔いしれるのが春という浮かれたくなる頃合いである。

しかしこのコロナ禍はそれを許してくれなかった。仕方のないことながら多くのことに規制が掛かったからである。サッカーをはじめとするスポーツ観戦にストップが掛かり、音楽など興行ごとを行ってはいけないという。もちろんスポーツ、興行自体にも“待て!”が掛かった。しかし、その前に易く外出することを阻まれて、人々が集うことさえままならなくなってしまった。これは間違いなくこころの痛みである。

身近になければならないと音楽を求める思いは、インターネットや映像の配信によって日々、新しい文化を構築している。怪我の功名というには物足りなさを引きずるもののしかし、助かった、安らぐことができたという人たちも多かったことであろう。

イタリアからも多くの歌劇場、コンサートホール、サロンより、映像や音響を駆使したコンサートの配信が行われた。日進月歩を目の当たりにさせるような技術革新は、会場で浸るようなライブ感を得られるようにと、より臨場感を見えない向こう側に届ける格好の機会となった。

病に倒れた犠牲者を向いた鎮言の音楽としてはじめられた意図が多く感じられたが、最初の頃(昨年、6月の上旬)は、ただただ演奏する姿をカメラに収めたものを録画して配信する、いままで行われてきたものと幾分も変わらない単純な演奏だった。

イタリア人指揮者、ダニエレ・ガッティによるローマ歌劇場伴う演奏が今も記憶に新しい。広大なクイリナーレ宮殿の庭園にオーケストラの弦楽器のみ密を避けた状態に配置されて、モーツアルトのアダージョとフーガハ短調、エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトの「シルーアンの歌」、ヴィヴァルディの合奏協奏曲、プッチーニの「菊の歌」、ヴェーベルンから弦楽四重奏のための緩徐楽章が奏された。病に朽ちた犠牲者への追悼と、医療従事者への感謝の気持ちを荘厳な響きで綴りながら、バッハの“G線上のアリア”でプログラムを締めくくるというオーソドックスなものであったが、意図が伝わってきたことで胸が熱くなったのをよく憶えている。ただ、映像的にはあまり工夫されたものではなかった。

堂満尚樹(音楽ライター)
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